私は一貫して風景を描いている。私が実際に体感・共感したその景色を絵画作品として制作しているのである。「風景は、魂の状態で出会う。私が見ているものは、見えないものに、聞こえるものは、聞こえないものに、おそらくは、考えの及ばない処に付着しているのであろう。」 私はただ見えている風景が描きたいのではなく、自然という大きなことわり（宇宙の理）を意識の前提として持ち、本能ともいえる美の状態を伝えたいのである。私が近年手掛けている「PRAYER」のシリーズでは、美の現状を描くのではなく山容を描くという行為性に着眼している。 絵を描くことそれ自体が、自身の祈りを形にしたものであると気づいたことで、表現の幅がまた広がったように見える。私は絵を描くということにより、自身の持っている哲学性や宗教観を私たちに伝えようとしているのである。